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他人と比べてしまう時の対処


小田美奈子さん
コーチ・キャリアカウンセラー

 現在、20〜30代の女性からキャリアの相談を受ける機会があります。その際、「あの人はあんなにできるのに、それに比べて私は……」と、自分と他人を比べてしまうという声をよく聞きます。

 私も以前はこのように、自分にないものを持っている人と比べて落ち込む傾向が強かったと思います。ところがある友人から言われた言葉がきっかけで、考え方を変えることができました。それは、「人と比べてしまう時は、その人のうまくいっているところを観察するといい」というものです。この言葉は、とても納得できるものでした。

 「人と比べて私は……」と自分のダメなところではなく、その人のどういうところがうまくいっているのか、相手のよいところに焦点を当てる。その人から何が学べるかを考え、それを自分に活かしていく。比べるのではなく、モデルにするという考え方は、まさに自分の視点を変えてくれました。

 「目的論」という考え方があります。アドラー心理学(※ 注1)の基本的な考え方の一つで、行動の原因でなく目的を理解しようとすることです。人と比べてしまう時、この行動の目的は何だろうとたどってみると、「自分はもっとこんなふうになりたい」という願いがあることに気づくことがしばしばあります。そのためには、どんなところを変えたらいいのか、自分の未来に目を向けてみることで、より前向きに考えられることを実感しました。

 もし、他人と比べたり、自分を低く評価したりしてしまう時は、そのことを認めた上で、相手のよいところや自分の未来に目を向けてみることをおすすめします。葛藤が起きた時こそ真摯(しんし)に向き合うことで、成長の糧になります。どんな経験も栄養にしながら、キャリアを歩んでいきたいですね。

※ 注1:アドラー心理学
オーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーが創始し、その後継者たちが発展させた心理学の理論、思想と治療技法の体系。
URL:http://adler.cside.ne.jp/

2009年7月7日  読売新聞)

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